何(誰)のための社会進歩か?—福祉国家の再構築—

平成30年度第4回一橋大学政策フォーラム

何(誰)のための社会進歩か?—福祉国家の再構築—

日時: 2018年11月11日(日)10:30—18:00 (開場10:00)
会場: 一橋講堂
報告者: マーク・フローベイ(IPSP / プリンストン大学)
後藤玲子(一橋大学経済研究所教授)
プルナミタ・ダスグプタ(IPSP / 経済成長研究所教授)
黒崎卓(一橋大学経済研究所教授)
小野浩(IPSP / 一橋大学ビジネススクール教授)
討論者: 北村行伸(一橋大学経済研究所教授)
森口千晶(一橋大学経済研究所教授)
主催: 一橋大学社会科学高等研究院グローバル経済研究センター(HIAS GLECS
共催: 社会的進歩のための国際パネル(IPSP
一橋大学経済研究所規範経済学研究センター
参加申込: こちら より10月31日(水)11月7日(水)までに参加をお申し込みください
参加費: 無料
使用言語: 英語(日本語による同時通訳が提供されます)
お問合せ先: TEL: 042 – 580 – 8668 一橋大学社会科学高等研究院企画室
https://glecs.hias.hit-u.ac.jp/contact-us/

IPSP

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開催趣旨

開催趣旨

HIAS GLECS(一橋大学社会科学高等研究院グローバル経済研究センター)には開発援助研究と規範制度デザイン研究部門があります.これまで,両者は,さまざまなリスクや逆境を負う個々人の福祉well-beingへの関心を共有しながらも,本格的対話をなすことはまれでした.IPSP(社会的進歩に向けた国際パネル)との本共同企画に向けて,我々は,社会科学の総合的視野のもと,<互恵性>と<公共性>という2つの言葉に着目します.両者の連関は,開発援助と規範制度デザインを貫き,社会進歩を批判的に展望する鍵となるでしょう.

2011年3月11日の東日本大震災をきっかけとして,日本では深い傷を負った隣人を含めた,きずな・つながり・互助など<互恵性>への関心がこれまでになく高まりました.一方,2022年度から実施される高校の学習指導要領に<公共性>が必修科目として新設され,世間の耳目を引いています,けれども,これら2つの連関はさほど明確ではありません.むしろ,互恵の高まりは公共性の縮小を,公共性の高まりは互恵性の縮小を招くおそれも懸念されています.はたして,両者が補完しあえるとしたら,それはいったいどのような条件のもとなのでしょうか.それらは個人の自由,責任,そして滞在能力とどう関わるのでしょうか.

これらは,福祉国家・福祉社会のあり方を考察する上で共通に直面する根本的な問題にほかなりません.本企画の目的は,以上の点をふまえて,社会進歩を批判的に展望する公共的討議の場を創出することにあります.

IPSPからのメッセージ

IPSPからのメッセージ

社会的進歩のための国際パネル(IPSP)は,現代社会において主たる役割を担うべき公的機関の改善につながる評価方法の確立を目的とした独立組織であり,第一線の研究者が集まっています.IPSPが先日出版した全3巻22章からなるレポートには,望ましい社会変化を引き起こすために,最も優れた社会科学が提言しなければならないこと,として彼らの研究成果がまとめられています.社会科学者や人文科学者は平易な言葉を用いつつ,過去の世界で科学者が成しえたこと,今日の社会に垣間見える傾向,我々が直面している危険,並びに,21世紀中に実現するかもしれない社会について語っています.その内容は,社会経済的,政治的,文化的側面における社会の進歩,特定の地域に限定される問題と世界共通の問題,多種多様な試みとそれらの間に起きている相互作用にも言及しています.慎重になりつつも,社会的進歩とより良い政策のための複数のアイディアはすでに存在しており,施策する段階に来ているという楽観的な結論を導いています.

IPSPは,

  • 社会的進歩をどのように推進すべきかについてのアイディアと討論を求める学生,研究者,シンクタンク,行政の専門家,政治家,あるいはNGOにとって有益となるよう,社会科学の様々な分野における研究を包括する役割を果たします.
  • 研究分野の壁を超え,西洋的な見方にとらわれない視点で世界を見据え,多種多様な学問分野から生まれるそれぞれに固有の観点を提供します.
  • 公的機関や政策の改善のための様々なアイディアを提供しつつ,現在の潮流が備え持つ良い面と悪い面をバランスよく評価します.
プログラム

プログラム

10:00—10:30 受付
10:30—10:40 開会挨拶:蓼沼宏一(一橋大学長)
第一部
10:40—16:30
司会:北村行伸(一橋大学経済研究所教授)
10:40—11:30 基調講演1:マーク・フローベイ (IPSP / プリンストン大学教授)
『福祉国家から解放された国家へ』
11:30—12:20 基調講演2:後藤玲子(一橋大学経済研究所教授)
『我々は公共互恵性という現実的ユートピアを描くことができるだろうか?』
休憩(12:20—13:40)
13:40—14:30 基調講演3:プルナミタ・ダスグプタ(IPSP / 経済成長研究所教授)
『経済成長,不平等と持続可能性:社会的進歩の多次元性』
14:30—15:20 基調講演4:黒崎 卓(一橋大学経済研究所教授)
『開発途上国における互恵性とリスクシェアリング』
休憩(15:20—15:40)
15:40—16:30 基調講演5:小野 浩(IPSP / 一橋大学ビジネススクール教授)
『福祉国家と幸福度』
休憩(16:30—16:50)
第二部
16:50—18:00
 司会:神林 龍(一橋大学経済研究所教授)
パネルディスカッション
パネリスト:
マーク・フローベイ(IPSP / プリンストン大学教授),後藤玲子(一橋大学経済研究所教授),プルナミタ・ダスグプタ(IPSP / 経済成長研究所教授),
黒崎 卓 (一橋大学経済研究所教授), 小野 浩(IPSP / 一橋大学ビジネススクール教授),
北村行伸(一橋大学経済研究所教授),森口千晶(一橋大学経済研究所教授)
アクセス

アクセス

東京都千代田区一ツ橋2-1-2 学術センター内 神保町駅(A8 または A9 出口),竹橋駅(1b出口)徒歩4分

アクセス

参考文献

参考文献 / References

  1. International Panel on Social Progress 2018 Report “Rethinking Society for the 21st Century” Summary. Click here.
  2. Hiroshi Ono, “Social Jutice and Well-being: Lessons for Asia”. Click here.
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